天才キットの
☆ 1日1枚 

Fujifilm Finepix4500・・
赤の陰翳 2003/07/02 WED
 ひょっとして梅雨が明けたのかなあ。ここ何日か、天気予報を聞いていないので確かなことは分からないのだが、今日のお天気はもう完璧な夏だったね。例年だと、関東地方の梅雨はまだ1週間ぐらいは続くんだけど・・・。
 というような気分だったので、お散歩しながらも、つい無意識に夏らしい被写体を探していたようだ。土手に面した家の人が植えたのだろうか、真紅の百合の花が1株、ラベンダーがちょろちょろという花壇があった。花壇といっても自分の庭じゃなくて土手の上だから、いわば無許可花壇だね。このあたりの住民たちは、半分ボランティア気分で土手に花を植えている。お隣がやり始めると、対抗上、そのお隣も、そのまたお隣も、という具合で、土手全体が花盛りになる。花盛りになると、ゴミをポイ捨てするような怪しからんヤツも減る。お散歩しているボクにとっては、この上ない有り難い話だ。

【使えるワザ】いつもの通り、常時設定の補正-0.3で撮ろうとしたら、液晶画面に絞り値9.8と出た(ボクのデジカメは2.8と9.8の2通りしか絞りがない)。いくら接写モードでも、9.8まで絞ってあると背景のボケが中途半端になって絵にならない。絞り選択はカメラの勝手、つまり、自分で操作できない仕様なので、こういうときに困る。試しに補正をゼロに戻してみたら絞り値が2.8になった。シャッタースピードはなんと1/630。カメラは一体、何を基準にこの絞りとシャッタースピードの組み合わせを決めているんだろう?F9.8の1/160にしないのは何故だ?いつかフジに聞いてみよう。
 ときどき、背景を綺麗にボカすワザについて質問があるが、ボクのカメラのような完全な全自動でない限り、絞り優先オートを選択して、絞りを開ける(絞り値を小さな数字にする)ことで背景のボケは大きくなる。フィルムカメラに比べたらボケ具合が中途半端ではあるけれど、接写モードや望遠ズーム側ならけっこういける。全自動の場合は、今日のように、カメラのご機嫌が変わるのを期待するしかない。
撮影データ
撮影日 2003/07/02
ISO感度 200
絞り値 F2.8
シャッター 1/630
露出補正値 0
WB オート
その他 ストロボ発光禁止
接写モード
バックナンバーは
「天才キットのフォトギャラリー」
に展示してあります。
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venetoさんから
 キット先生、はじめまして。毎日素敵な写真をありがとうございます。なかでもコスモスの写真はとても素敵でした。こういうふうに花の背景をぼかすのはどうすれば撮れるんですか?マクロモードで、もちろん花に焦点をあわせているつもりなんですけど、いつも背景がくっきりで肝心の花がぼけてしまうんです。どうかおしえてください。

返信
 今日のご質問には、2つのポイントがありますね。背景をぼかすワザと、肝心の花に焦点を合わせるワザです。この2つはまったく別のワザですから、それぞれにお答えすることにします。

 まず、背景をぼかす方法ですが、今日の「使えるワザ」にもある通り、レンズの焦点距離と絞りがポイントです。ちょっと難しい話になりますが、ピントが合う遠近の範囲のことを被写界深度といいます。手前Xメートル(Xセンチ)から奥Xメートル(Xセンチ)までピントが合うかという範囲のことです。

 この被写界深度は、レンズが広角になるほど深くなり、絞りが絞られるほど(絞り値が大きくなるほど)深くなります。ですから、近くから遠くまでピントが合った(パンフォーカスの)画像を撮りたければ、広角にして絞りを絞ればいいし、逆に、ピントを合わせた部分以外をぼかしたいときは、ズームを望遠側に伸ばして撮るか、絞り値を小さくすればいいことになります。

 デジカメの場合、ほとんどの機種に接写(マクロ)モードという機能がありますが、この接写モードでもボケが大きくなる性質があります。ただ、デジカメはもともとかなり広角のレンズを使用している関係上、フィルムカメラで撮った画像ほど背景はボケてくれません。しかし、ピント位置から離れたものほどボケは大きくなりますので、作例の「コスモス」のように、花と背景との間隔を大きくして撮ってやれば、それなりのボケた背景を得ることができます。「コスモス」を撮ったときは、できるだけ長く伸びた、花と背景との距離がある株を選びました。

 次に、接写モードでピントを合わせる方法です。多くのデジカメは、ファインダー像、あるいは液晶画像を、レンズ以外の窓から取り入れた光で結ぶようになっています(レンジファインダー方式といいます)。1眼レフの場合は、フィルムに写るのと同じレンズからファインダー像を結ぶようになっているので問題ないのですが、デジカメのファインダーはそのように、別の窓から受光している関係上、レンズから受光する像と微妙なズレが生じます。ちょうど、右目だけで見た像と左眼だけで見た像が、微妙に異なるのと同じです。

 この微妙なズレが、接写の場合はより大きなズレになってしまいます。ご自分の指を両目の真ん中に立てて、片目で見てみてください。指が近くにあるほど、右目と左眼で見た指がずれるでしょう。それと同じ理屈です。

 で、どういうことになるかというと、ちゃんとファインダー(液晶)の中心部でピント合わせをしたつもりでも、レンズから見ると中心部からずれていて、背景部分が中心位置になっているということになるわけです。これが、ピン抜けの原因です。

 これを防ぐには、レンズとファインダー受光窓との位置関係をよく把握しておいて、たとえば、10センチ離れたところから撮る場合は、ファインダー(液晶画面)のどの位置がレンズから見た中心部になるかを推測する必要があります。そして、シャッターを半押ししてからは、液晶画面をよく見て、確認してください。半押しのまま、カメラをちょっと前後させてやると、ピントが合ったりボケたりしますので、そのちょうど合ったところで切るようにすればいいのです。この他に、自分の手を利用した裏ワザ(6/106/146/156/18)がありますので参考にしてください。

 なお、明るいところだと液晶画面がよく見えなくなりますので、カメラ屋で液晶カバー(1000円ぐらい、手作りでも簡単にできる)をお買いなればいいと思います。また、いくら液晶画面で確認しても、接写モードの被写界深度はわずか数ミリという狭さなので、ほんのちょっとしたカメラの前後でピントが狂います。液晶だけで完璧に確認できるものではありませんから、念のため何枚も撮っておいてください。デジカメならではの「数打ちゃ当る」方式を活用しましょう。
「氷の国の一人旅」と「天才キット世界を撮る」は明日配信です。