Kit the genius'
☆ 1日1枚 

Fujifilm Finepix4500 Camedia C-4100
ループ橋 2003/08/11 MON
正式名称を廿六木(とどろき)橋と大滝大橋といい、二橋合わせた通称を雷電廿六木橋というこの橋は、そのまた愛称をループ橋といって、奥秩父大滝村の名所の一つに数えられている。
 5年前に雁坂峠にトンネルが開通するまで、埼玉から山梨の塩山、甲府方面への交通路は俗に「雁坂越え」と言われる、1日がかりの山道があるだけで、車両はもちろん、登山者以外は人の行き来もできなかった。つまり、秩父側から大滝村に登ってくると、栃本という、昔関所があった集落が行き止まりだったわけだ。前に一度、この雁坂越えをやってみたことがあるが、途中の無人山小屋で一泊して、やっと山梨の土を踏むことができた。器材を背負って歩く道じゃない。
 トンネルのお陰で国道140号(雁坂みち)が全線開通し、ボクみたいにあちこち走り回る商売の人間にとっては至極便利になった。そしてこのループ橋。国道にバイパスができたので、さらに便利になったのだ。
 しかし、ボクが大好きだった紅葉の秘境中津川渓谷は、このバイパス建設で削り取られ、今は、ループ橋のすぐ上に滝沢ダムが急ピッチで建設されているので、もはや見る影もなくなってしまった。この橋を通るたびに、便利さと引き換えに失った渓谷美を惜しむ気持ちが湧き上がってくる。昨日も帰りにこの道を通ったが、そのときにふと、夜景を撮ろうと思いついて、今日行ってきた。
 フィルムカメラでは広角の18ミリでも全景が切り取れない。ましてや、デジカメでは広角コンバーターを装着してもこれが精一杯。なにせ、渡りきるのに1分はかかる長いループなのだ。近いうちに中判カメラと魚眼レンズを持って、もう一度挑戦するつもり。背後の山に登れば、もっと遠景が切り取れるかも知れない。それもやってみるつもりだ。失われた昼間の景色がもう撮れないのなら、替わりに夜景でも、というわけだ。

使えるワザカメディアでは、マニュアル設定でも最長シャッターは16秒しかない。フィルムカメラなら1分以上の長時間シャッターになる暗さなので、せめて絞りは目一杯開けてある。只でさえ光が滲みやすいCCDが、この絞りではそれをさらに助長することになって、ご覧のように、手摺りに設置されたライン照明がまるでスポットライトのように尾を引いてしまう。縮小してあるので目立たないが、ノイズもすごい。デジカメで夜景がちゃんと撮れるようになるのは、いつのことなんだろう。
撮影データ
カメラ Camedia C-4100
撮影日 2003/08/11
ISO感度 100
絞り値 F2.8
シャッター 16秒
露出補正値 0
WB オート
その他 マニュアルAE
ストロボ発光禁止
コントラスト+1
バックナンバーは
「天才キットのフォトギャラリー」
に展示してあります。
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mihoさんから
 3ヶ月くらい前からのファンです。写真は言わずもがな、どれも文章が素敵です。くだけた調子の「お散歩」や「世界を撮る」も、ユーモラスでありながら品があって、また書き込みをする方々も類は友を呼ぶのでしょうね、皆さん感じがよくて、こんなに気分よく読める(そして笑える)メルマガは他にないのでは?多分見えないところで、相当ご苦労されているのだろうとは思いますけれど。

 さて、デジカメはあっても全く撮らず、「単なる野次馬」に分類されてしまう私が、恐る恐るこの扉を開けたのは、このところNHKで野生動物を撮っているカメラマンの番組があり、それを見てからずっと誰かに聞いてみたいな〜、と思うことがあるからです。キット先生は写真家だし、またそう言えば、この間肖像権の問題が論じられていたから、それにこじつけて・・・。

 熱帯の地に潜んで、苦労の末、幻のゴクラクチョウの舞いをカメラに収めたという話です。ところが、世界初の貴重な映像なのに、なんだか私は見てはいけないものを見たような気分がどうしてもぬぐえないのです。なんでこんな気分になるのか、一羽のメスにだけ見せようと必死で舞う姿を、可愛いと言うより、こっけいと言うか哀れと感じ、それを物陰から盗み撮り?して公開するのが気に入らないのか、理屈をつければそういうことかもしれません。私のほうがちょっと変でしょうかねぇ。現地人が蝶の真似して踊っているのはちっとも不自然と思えないのが、我ながら理屈に合わないし、この2、3日どうもすっきりしません。

そういえばウミガメの産卵とか鮭、鱒の産卵とか、飽きもせず毎年必ず写される映像を見てもやっぱり同じ気分になります。動物たちの肖像権?なんて考えることありますか?


返信
 動物の肖像権というのは聞いたことがありませんが、mihoさんがおっしゃる通り、「世界初映像」というのは、いろんな問題をはらんでいると感じています。
 写真家としては、今まで誰も撮ったことがない映像を初めて撮影し、それを世に問うことは誰しも抱く夢であるわけですが、その映像は、いままでそんなものがあることすら知らなかった人々をそこに呼び寄せる力を持っているので、前人未到の地がたちまち観光地化してしまったり、知られざる動植物が踏みにじられたり密漁されたりという弊害を生むことが多いのです。前田真三氏のたった1枚の写真で、美瑛の丘が北海道随一の観光地になってしまったのと同じようなことが起こり得るわけですね。写真家という種族は、ある意味、そういう割り切れなさを内に秘めつつ生息している人々なんですよ。中には(特にテレビ関係者)無神経な人もいますけどね。


じゅんちゃんから
 お礼が大変遅くなりました。先日の獅子回しの写真の講評大変ありがとうございました。
 それにしても、その後の他の方の写真の講評や、「お散歩デジカメ」の解説などを見るにつけ、キット先生の技量の凄さに、その深淵さにただただ恐れおののくばかりです。

 私などは、この辺からこう撮ろうかなと思い、後は獅子が口を開けたところのタイミングだけで撮っているだけなのに、構図を決め、露出を調整し、あまつさえ後方の人の表情まで気を配り、等々、考えられない領域ですね。ゴルフに例えれば、ハンディ36の駆け出しとプロゴルファーような差はあって当然なのでしょうけど、少しずつでも「日の丸」や「図鑑」や、いろんな定石なども学びながら、なんとかアベレージぐらいにはなりたいものと思い始めましたので、今後とも宜しくお願いいたします。


返信
 プロの写真家といえども万能ではありません。写真の講評は、実際に現場に立ち会わないで、後講釈しているだけだから言えるというようなこともあるわけで、そう買い被らないで下さい。ボクも失敗ばかりやっている人間なんですよ。

りょうちゃんから
 いつも楽しみに見せて頂いています。
 いつも皆さんのメールを読んでいて気になるのですが、「きりばん」にこだわってられるようですね。何のことなのですか?教えてください。出来たら私も参加してみたいので、宜しくお願いします。


返信
 切り番というのは、ボクのホームページの中のいくつかのギャラリーに設置してあるアクセスカウンターで、たまたまある数字に行き当たったということなんです。たとえば、トップページの次の切り番は「30000」ということになっていますが、トップページを開いたときに、たまたまその数字に行き当たれば、「切り番を踏んだ」ということになって、ごーかしょーひんがいただけるというわけです。そういえば、トップの30000はもうすぐだよ!明日かあさってだね、多分。踏んだら掲示板に書き込んでね。お好きな写真を額に入れて差し上げます。時価36000円もするしょーひんがでるHPは、世界広しといえどもここだけだね。
唐突に決まった撮影会のお知らせ

日時:8月23日(土)午後4時から
被写体:お台場公園の夕陽と夜景とアベックと生ビール
参加費:3000円(講評会込み、交通費と飲み代は各自負担)

※今回はデジカメ中心でやります。撮影会終了後の生ビールの席で、
パソコンに画像を取り込んで、飲みながら講評会をやろうかと考えています。

お申込みはこちらから。
投稿写真をけちょんけちょんにけなすコーナー
ひでマーさんの投稿写真
 ひでマーです。いつも楽しく拝見させていただいてます。
 デジカメ暦はかなり長く5年目ですが、今までは何も考えず、ただシャッターを押すだけが多かったですね。キット先生のメルマガを読むようになって、やっと構図や設定に気が回るようになってきました。

 この写真(タイトル:上海の大きなホテル前にて)はただ押すだけの例です。私の伝えたいことがすぐにお分かりになりますでしょうか?
 上海の大きなホテルに宿泊し、翌朝6時ごろデジカメ片手にお散歩をしようとホテル前の道路に出ますと、日本では考えられない光景が目に飛び込んできました。なんじゃこりゃ?大きなホテルの前なのに、堂々と洗濯物や干物をぶら下げています!
 文化の違いを感じてカメラに収めたわけですが、キット先生、そのことをすぐにお感じになられました?よろしくお願い致します。使用カメラはペンタックスOptio330です。


講評
 確かに、こんなものを見た日にゃ、「なんじゃ、こりゃ?」って思いますよね。何でもありの中国ならではの光景ですね。
 しかし、この写真からは、コメントがなければ「なんじゃ、こりゃ?」という感じは伝わってきませんよ。一見して中国の都市風景だと分かりますから、ホテルの前に出ている露店だと思う人が多いんじゃないでしょうか。そういう露店はけっこう目にしますからね。それに、肝心のホテルが看板だけしか写っていないので、「洗濯物や干物」と高級ホテルのミスバランスの面白さが画面からは感じ取りにくいと思います。

 JIN SHA HOTELは確か15階建てぐらいの建物だったと記憶しています。その建物が背後にそびえるような絵柄で、大きく洗濯物を前に写し込めば良かったと思います。交通が途切れるときを見計らって、ちょっと車道に出て下から仰角をつけて写せば、そういう絵になりませんか?現地の記憶が定かではない(金沙には泊まったことがない)ので、そういう図柄が撮れるかどうか断言はできませんが、せめて、洗濯物を横からではなく、正面から写したかったところです。

 洗濯物を画面の中心から外して、車道の一部や通行人を入れたのは正解です。都市風景の一部なので、そういう「部品」が入ることによって雰囲気が描写できるからです。ある程度、画面の構成を考えて撮れるレベルには達しておられるようです。5年のキャリアは伊達ではなかったということでしょうか。
写真を講評しますよ!
 みなさんが撮ったデジカメ写真を送って下さい。この欄で講評します。「こうしたらもっと良くなる」「こんな見方もアリだよ」など、今後の参考になる(かもしれない)意見を述べさせていただきます。本名で送ってきても、こちらで勝手にあだ名をつけさせていただきますので、撮影者名は仮名で構いません。「掲載はして欲しくないけど講評だけお願い」というのはご遠慮ください。

○ 写真はなるべくリタッチしないままで。サイズだけ640x480pxに縮小してメールに添付してください。

○ 1通のメールに添付するのは1枚だけにして、複数の写真を添付しないで下さい。重くなりすぎて届かないことがあります。

○ 使用したカメラを教えてください。

 現在の在庫は17枚です。原則として1日に1枚掲載しますので、しばらく順番待ちになります。ご容赦ください。
 それから、ひょっとしたらボクのホームページの「写楽道場」に載せるかも知れません。送り先はこちらです。