Kit the genius'
☆ 1日1枚 

Fujifilm Finepix4500 Camedia C-4100

秋雨 2003/10/14 TUE
 頼まれ原稿をなんとか書き上げたので届けに行った。メールで送ればよかったのだが、今後のこともあるので、こういうときは顔を見せておいたほうがなにかと都合がいい。フリーの立場は営業もおろそかにはできない立場なのだ。
 でも、お相手は忙しいらしく、しばらく待たされた。待っている間に雨が降り出し、見る見るうちにステンレスの庇に水溜りができる。その水溜りが、ときどきコロコロと転がって形を変えるのが面白くて、しばらく眺めていた。けっこう強い降りで、下を通る人々はみな傘を差している。
 明日のお天気はどうなんだろう。両親の顔を見に行くだけだから、お天気が良かろうが悪かろうが関係ないといえばそれまでだか、天気がいいと夕方の富士が綺麗に見える。マンションの11階という高さから見る都会の夕暮れはけっこう楽しみなのだ。
 あさっては鬼嫁がどこか連れて行け、とのご宣託なので、茨城の海浜公園に行こうかと思っている。ここのコスモスは壮観だ。お天気次第だが、海と満開のコスモス、いい写真が撮れるといいな。鬼嫁には散歩でもさせておけばいい。
【使えるワザ】 雨だけど、カメラはステンレスの輝きを拾うのでけっこう暗い描写になる。通常設定の-0.7では暗すぎると思ったので、補正をゼロに戻して撮った。それでもこの通り、下の道路は暗く落ちる。ピントは水滴の部分だから、下の景色(といっても傘だけだけど)はどうせボケる。ついでに暗く落ちるほうが都合がいいわけだ。
 水滴の縁の部分が際立ったのはコントラストを強めたせい。せっかく面白い形をしているのだから、それを強調するようにした。
 ガラス越しに撮影する場合は、ガラスに室内の光やカメラのレンズが写りこまない角度を考えなくてはいけない。もちろん、わざと室内の光景を写しこむという撮り方もないわけではないが、それだと違う意図の写真になる。この場合は、かなり急角度の下向きだし、ズーム一杯の望遠だから、写りこみが避けられた。
撮影データ
カメラ Camedia C4100
撮影日 2003/10/14
ISO感度 100
絞り値 F2.8
シャッター 1/100
露出補正値 0
WB オート
その他 絞り優先AE
コントラスト+3
彩度+2
バックナンバーは
「天才キットのフォトギャラリー」
に展示してあります。

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読者からのメールや質問やヤジ
▼てるてるさんから▼
 「かまきり」の使える技のところに「ボクは絶対に子どもが寄りつくような風体じゃないはずなのだが」とありましたが、そんなことはないと思いますよ。子どもは風体ではなく、その人がどれだけ子ども好きか、子どものように柔らかで好奇心いっぱいの心の持ち主かということを本能的に見分けますから、kit先生が子どもに付きまとわれるのはカメラのせいだけではないと思います。
 私の仕事もそれなりに忙しいですが、先生のはそれ以上だなあといつも感心しています。お体を大切になさってくださいね。睡眠不足はお肌にもよくないそうですよ。

 ところで今日は超超・・・初心者の質問です。撮影データのところで意味のわからない言葉があるんです。きいてみようかやめようかと迷いましたが、やっぱり知りたいので、この忙しいのに!!と怒らずに、暇なときでいいですから教えてください。ISO感度、絞り値、絞り優先AEというのは何のことでしょうか?私のカメラはCanon IXY Digital300です。よろしくお願いします。


▼返信▼
 まず露出という言葉から理解する必要があります。長文になるので覚悟して読んでください。
 露出というのは、レンズを通してカメラに入ってくる光の量のことです。目に見えるすべてのものは、必ず何らかの光を反射しています。自らが光っているものもあります。これらはすべて、その光の強さと波長によって明るさ(明度)と色彩(彩度)が判断されるわけです。ですから、カメラでその明度と彩度をフィルム(デジカメの場合はCCD)に定着させるためには、被写体が発する光を必要、かつ、十分なだけ取り入れてやらなければなりません。取り入れ方が少なすぎると暗い画像になってしまうし、取り入れすぎると明るい画像になってしまいます。単に明るい、暗いというだけではなく、色も現実の色ではない発色になってしまうのです。

 そこで、カメラとフィルムはこの取り入れる光の量を加減する機能を備えていなければならないということになるわけですが、それを3つの機能の組み合わせで行なっています。1つは感度(ISO感度)、2つ目は絞り、最後がシャッター速度です。

 まず、絞りとシャッター速度から説明しましょう。
 絞りというのは、撮影する瞬間にレンズに光を取り入れるための穴の大きさのことです。カメラの中にはフィルムが入っていますから、勝手に感光してしまわないように普段はこの穴は閉じていますが、シャッターを切ると、その瞬間だけその穴が開きます。この穴の大きさを変えることによって、光の量を調整するわけです。
 一般的に、この絞りの大きさはFという記号で表します。F1.4→2→2.8→4→5.6→8→11→16→22→32→45→64と、Fの次の数字が大きくなるほど、穴の大きさは小さくなります。→で示した段階を1つ進むごとに「1段」という言い方で露出の変化を表わします。

 この数字、変な数字だと思いませんか。1→2→3→4→5と規則的に変化すればいいのに、どうしてこんな数字になっているのでしょう。それは、穴の大きさ(面積)は穴の半径の二乗に比例しているからなんですね。それを逆にして、平方根で表示したのがこの奇妙な数字の並び方になっているというわけです。1.4というのはルート2のことです。その倍がルート2の二乗ですから2、4倍はルート2の三乗ですから2.8という具合です。ということは、F1.4とF2を比較すると、穴の大きさはちょうど半分になっていることになります。

 次がシャッター速度です。これは簡単ですね。シャッター速度が半分になれば、それだけ長い間穴が開いた状態になるわけですから、カメラに入ってくる光の量は単純に倍になる勘定です。今は電子シャッターというシロモノが主流なので、このシャッタースピードはどんな速度にも対応できますが、昔のカメラは歯車とバネの組み合わせだけでこれを制御していたので、その当時の速度表示である1秒→1/2→1/4→1/8→1/16→1/30(1/32ではない)→1/60→1/125(1/120ではない)→1/250→1/500という数字が今でも使われています。それぞれ1つ進むごとにシャッタースピードは倍になります。→1つが「1段」の露出変化です。

 さて、普通はこの、絞りとシャッター速度という2つの組み合わせで露出を調整します。ある風景をカメラの露出計で計測したときに、たとえば絞りがF5.6、シャッター速度が1/60秒であったとしましょう。このときに絞りだけをF8に変えたとすると、穴の大きさが半分になったわけですから、こういうときは、「露出を1段切り詰めた」ことになります。逆の場合は、「露出を1段開けた」というわけです。

 露出は絞りとシャッター速度の組み合わせだと言いました。ということは、「絞りF4、シャッター速度1/30」と、「絞りF2.8、シャッター速度1/60」の露出は同じですね。穴の大きさ(絞り)は倍になったけれども、シャッター速度は半分になっていますから、カメラが捉える光の量は同じです。
 組み合わせを変化させるときに、絞りの方を固定してシャッター速度だけを変化させる方法を「絞り優先AE(AEというのは自動露出制御のこと)」と言います。記号では「A」で表示します。
 逆に、シャッター速度を固定して絞りだけを変化させる方法を「シャッター優先AE」というわけです(記号はT)。
 オートAE(プログラムオートともいう、記号はP)という機能がほとんどのカメラについていますが、これは絞りとシャッター速度の組み合わせをカメラ任せにする方法で、いわゆる「押すだけ」撮影がこれに当たります。

 絞りが変化しようが、シャッター速度が変化しようが、両者の組み合わせである露出が同じであるのならばカメラ任せでいいじゃないか、と思いがちですが、絞りの数値は被写界深度(手前から奥まで、どのくらいの奥行きにピントが合うかの範囲のこと)に大きく影響を与えますし、シャッター速度は動いているものを止めて写すときには重要なカギを握るものですから、全部カメラ任せというわけにはいきません。なので、絞り優先、シャッター優先という機能が必要になるわけです。

 最後にISO感度について述べます。
 フィルムというのは、フィルム面に感光物質が塗ってあって、これが光を受けると化学変化を起こして感光するという仕組みになっています。このときに、塗ってある感光物質の分量が半分になれば、半分の光の量で感光しますから、感度が高いということになりますね。しかし、感光物質の量が少ないわけですから、それだけ粒子が粗いということでもあります。この感度の強弱を表示したのがISO感度なのです。ISO50→100→200→400→800→1600と、数字が倍になるごとに感光物質の量が半分になり、感度が高くなります。デジカメの場合は、感度が高くなるにしたがって、受光部にあるCCDの働く数が減っていきます。それだけ粒子の粗い画像になりますが、感度が高いわけですから、暗いところでも早いシャッター速度が得られるということになります。


▼hermesさんから▼
 Kit 先生、レンゲショーマの講評、大変ありがとうございました。
 なるほど、Kit先生に言われるとすぐ納得してしまうのですが、やはり花がこっちを向いていないのと、遠すぎてこれ以上近づけなかったということが致命的だったようですね。やはりこれではレンゲショーマの存在感が小さくなって周りの情景に埋もれてしまってしまたということでしょうか。今日、そのときに撮った別の写真を数枚「撮影会ネット」のメーリングリストでアップ先を載せておきました。いずれも今一ですが...。
 こうして、直接講評していただくと、自分の中ですっきりしなかった部分がはっきり指摘され、非常にためになっていると強く実感できます。ありがとうございました。


▼返信▼
 別の写真を拝見しました。投稿写真よりいいのがたくさんありましたよ。
≪撮影会ネット≫
 撮影会ネットは、キットの撮影会に参加した人たちのメーリングリストです。

●まだ撮影会には参加していないけれど、いずれ参加する方向で家族会議中の方、
●参加したくはないけれど、ひょっとしたら弾みで参加してしまうかも知れないという恐れを抱いている方、
●人から誘われたら断りきれなくて参加してしまいそうだという意志薄弱・優柔不断な方、
●とにかくなんにでも口を挟まないと気がすまない方、

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投稿写真をけちょんけちょんにけなすコーナー
はるこちゃんの投稿写真
 こんにちは、はじめて投稿させていただきます。
 デジカメは、3年前に買いまして、少し使いました。今年の夏、そのカメラをなくしてしまい、買ったのが、キット先生のカメラと同じオリンパスc-4100でした。本当に初心者なのに、キット先生がおっしゃる中級カメラを買ったのは、前のオリンパスc-990zsが気に入っていたので、同じオリンパスで、スマートメディアが使えるからというそれだけの理由です。

 今度の、カメラは、なんだかピントが合わず、さっぱりわからないので、インターネットめぐりをしてたどり着いたのが、キット先生のページでした。
 「お散歩デジカメ」を拝見して、楽しい講評に(よく意味のわからないことが多いのですが、そのうちわかるようになるかしらと思っています)無謀にも、先日写した一枚を送らせていただきます。批評に値しないかもと、恐る恐るの投稿です。

 東京小石川植物園に、日本で初めて開花したというアモルフォファレス・ギガスという花を見に行った、9月15日に写しました。ダイヤルのPというところで写したしか、わかりません。ほかは、どこもいじらずに、写しました。このような、なんでもない景色を写すときの注意点などを、教えていただけたらと思います。

 写した写真をペイントで30パーセントにしてみましたが、このくらいの大きさで、良かったのでしょうか?ご指定の大きさには、どのようにしていいかわかりませんので、大きすぎましたら、ごめんなさい。どうぞ、よろしくおねがいいたします。


講評
 十分講評に値します。こういう、奇をてらわずに、真正面から素直に撮った写真(いわゆるアマチュアが撮る典型的な写真)は、意外と撮影意図がはっきりしている場合が多いし、ちょっとした工夫をすれば立派な作品になる要素を持っているので、講評のし甲斐があるというものです。

 初秋の森の中を楽しそうに散歩している親子3人がこの作品のテーマです。非常に明瞭ですね。ですから、この場合は、「初秋の森」と「楽しそうな親子」がもっとよく描写されさえすれば、立派な作品になります。
 まず、森の雰囲気は上手に描写されているのですが、画面全体を見たときに、今ひとつ印象が薄いですね。それは、画面に人の眼をひきつけるポイントがないからなんです。この場合は、手前の黒い影を強調してやれば、人の眼は自然と明るい方向に向かいますので、親子の姿がよりはっきりと印象づけられます。

 親子の大きさも小さすぎるようです。森と同等の比重を与えてやらないと、親子の姿は単なる添景になってしまいます。主役なんですから、主役並みの扱いをしてあげましょう。そうなると、もう少しズームで引き寄せて、手前の影の割合を大きくすると同時に、親子の姿も拡大するのが賢明だと思います。

 プログラムオートで撮られたということですが、全体が深い緑色の景色なので、この場合は露出をマイナス補正してやらなければなりません。晴れた日なので、絞りももっと絞れるはずです。絞っても十分早いシャッタースピードが得られるからです。絞れば、ピントが合う奥行きがもっと深くなるので、手前から奥まで全体にピントがきます。
 カメディアC4100にはコントラストの調整ができる機能がついていますので、コントラストを+3ぐらいまで上げたらよかったですね。手前の影や木々の緑がもっと黒っぽくなります。画面にネリハリが出て、立体感が強まります。参考画像はトリミング、露出マイナス半段補正、コントラスト強調、赤み軽減を行なったものです。オリジナルと比べてみてください。

 それから、この機種は多少赤みが強い発色をします。ホワイトバランス補正機能で、2目盛か3目盛ほど、ブルー側にインジケーターの針を動かしておくといいでしょう。緑色の発色がもっとよくなるはずです。設定画面の「画像」というところにあります。
 なお、設定画面の「設定」というところに、「設定クリア」という項目がありますが、これは、スイッチを切ったときに各種の設定がクリアされてしまうか、保存されるかの選択を行なう項目です。「オン」になっていると、通常設定がすべてクリアされてしまうので、「オフ」にしておくほうが便利ですよ。

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