とても嬉しいニュースが飛び込んできた。ラオスのケオくんがタイの日系企業に就職できることになったのだ。と言われても、大半の読者にはちんぷんかんぷんであろうから、ごく簡単に仔細を説明しよう。
ボクがラオスにハマったのは1998年、今から7年も前のことになる。それからの3年間、ほとんどラオスに入り浸りみたいになって国中を歩き回った。ちょうど脱サラしてフリー宣言をしたばかりの時期で、言わば、プロとしての最初のテーマになったわけだが、全部で10数回の渡羅の最初の3回を除き、運転手のカンピュイくんと通訳のケオくんがいつもチームを組んでくれた。カンピュイくんはたまたまビエンチャンで声をかけたタクシーの運ちゃん、ケオくんは、これもたまたまシェンクアンで会った素人ガイドだった。彼らを気に入った理由は、第一にバカ正直なこと、第二に愉快なこと、第三に素直なこと。
ラオスという国は非常に敬虔な小乗仏教国である。したがって、めっちゃ貧乏な国であるにもかかわらず犯罪が(ひょっとしたら昔の日本より)少ない。どんな田舎を旅していても、身体的な危険を感じることは皆無なのだが、金持ちからちょっとちょろまかす程度の、犯罪とは言えないぐらいのことは日常茶飯事で、そういうことにいちいち目くじらを立てていては身が持たないというか、面倒なだけという面がある。貧乏人に施しを与えるという仏教思想が背景にあるだけに、悪いことであるという意識もほとんどない場合が多い。
一方、物価水準が日本の1/100以下という国であるから、日本円を現地通貨キップに両替すると一抱えもの札束を背負い込むことになる。とても身につけてはいられないので全部ガイド兼通訳に預けるわけだが、勘定が合うことを期待するのは太陽に西から昇れと言ってるようなもので、多少のちょろまかしは覚悟の上なのである。
ところが、ケオくんに関しては太陽が西から昇ったのだ。日本円に換算したら1円未満というような小銭でもきちんと管理されているし、ゲストハウスの宿泊代、高くてもせいぜい10ドルとか15ドル程度の金額を必死になって値切ってくれる。
あるとき、某NPOの関連で、高校の先生方を4人、取材ついでに案内したことがあった。彼らもケオくんをえらく気に入ってくれて、その中の一人、体育のY先生がケオくんに奨学金を出してくれることになった。ケオくんは高卒、小学校の卒業率でさえ7割以下という国で、高校卒というのは高学歴もいいとこなのだが、産業らしい産業がないこの国ではろくな仕事はない。外資系の会社に入れるのは、全国に2校しかない大学を出た、共産党指導部の師弟だけなのだ。
ケオくんは、そのY先生が送金する年600ドルの奨学金で日本語学校と英語学校に通い、2年後には4ヶ国語(ラオ、タイ、英語、日本語)を自由に操る秀才になった。けれども、依然として職はなく、臨時のガイドで食いつなぐという生活を続けていたのだった。
それが、タイに旅行中のY先生がケオくんをバンコクに呼び出し、日本人同士の食事会に連れて行ったところ、その中の一人の日本人がケオくんを気に入って雇ってくれることになったという次第。Y先生から電話を貰ってそのニュースを聞いたときには、思わず涙ぐんでしまうぐらい嬉しかった。
というわけで、来年はなんとしてでも都合をつけて、少なくともタイまでは行かなくてはなるまい。ケオくんとはもう3年以上顔を合わせていない。ときどき小銭を送金してあげると、その中から工面して国際電話をかけてくれることがあるが、なんでもお父さんも失業してしまったらしく、できればラオスまで足を伸ばして見舞ってあげたいところだ。5月のラオ正月でも見物に行くとしようか。
あ、この橋、こないだの下校橋と同じ橋である。撮影中に職質を受けた。小学校の近くでの撮影は、しばらく自重した方がいいみたいだね。 |
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大きな写真は ⇒ ブログ版。 |
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撮影データ |
カメラ
CANON
PowerShot S1 IS |
撮影日 |
05/12/16 16:18 |
ISO感度 |
50 |
絞り |
F5.0 |
シャッター |
1/640 |
露出補正値 |
-1.0 |
WB |
屋外 |
露光方式 |
絞り優先AE |
測光方式 |
評価測光 |
合焦方式 |
スポットAF |
焦点距離
(35mm換算) |
58mm
(380mm) |
その他 |
手持ち撮影 |
レタッチソフト |
ちびスナ |
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