年末恒例といえば我が家ではヘンデルの「メサイア」である。うまくスケジュールが合えばチケットを買っておいてコンサートに行く。そうでないときには、BGMとしてではなく、ちゃんと居住まいを正してレコードを聴く。「マタイ」や「スタバト」ではなく「メサイア」というのには訳があって、昔、まだボクが青年であった頃、この曲の演奏に最初は合唱隊の一員として、後にはオケの一員としてステージに立った経験があり、仏教徒のくせにこの曲だけには一筋ならぬ思い入れがあるからなのだ。
コンサートはだいたい芸大オケを聴きにいく。割に容易にチケットが手に入るし、安い。昔は移転前の古い奏楽堂が会場で、独特の雰囲気が捨てがたかったということもある。今は上野の文化会館だけれど、やっぱり安いのがいい。
で、昨日がその演奏会の当日であった。チケットも買ってあったし、鬼嫁と二人で出かける手はずになっていたのだけれど、直前になってキャンセルを食らった。コンサートが中止になったわけではなく、また、鬼嫁が「行かない」と駄々を捏ねたわけでもない。突然、「あなたは行かないで!」と命じられたのである。理由は簡単。ボクと行くよりも自分の友だちと行った方が楽しいに違いないと気づいたというのだ。ええ、お洒落をしてお出かけになりましたよ。しかも、帰りは午前様、ボクの晩メシさえ用意されていなかった。
今日はもっぱらその話で持ち切り。演奏がいかに素晴らしかったか、指揮者はあの人でソリストは誰と誰で、あの部分のクレシェンドが今年はすごく劇的で、オーボエ奏者がとても上手で、観衆はどんな風で・・・と、事細かにご報告になる。えーい、くそっ!ボクだって行きたかったんだ!ボクの悔しさを知ってか知らずか、とめどもなくおしゃべりになる。
あんまり悔しいので、今日の午後、2回もCDを聴いた。3時間以上かかる大曲を2回、半日はすっかりこれでつぶれた。でも、聴き終わったら悔しさも忘れたな。いつもこの曲を聴くたびに、受難の最初のアリアで涙がこぼれそうになる。いい曲なのである。
今日の写真は、まだCDを聴くことを思いつく前、悔しさを紛らわすためにお散歩に出たときに撮った。言わずと知れた「しらこばと橋」である。無風の暖かい午後、元荒川の海面には波一つなく、橋がくっきりと映っていた。
太陽の方向に直接レンズを向けているので、橋は当然シルエットになる。シルエットにしたくない場合は露出をプラスに補正してやらなくてはならない。たいがいの写真技術本にはそのように書いてあるし、それが常識だと受け取っている人も多いようだが、そんなことを信じていてはいい写真は撮れない。もちろん、プラス補正が必要な場合もある。けれども、この写真でプラス補正などしようものなら、まったく絵にはなってくれないのだ。写真の常識なんてそんなもんである。
なお、太陽光がレンズ内面に反射することで発生するゴーストについても同様。ダメというのが常識だけど、ダメじゃない場合もあるのだよ、明智くん。 |
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撮影データ |
カメラ
OLYMPUS
Camedia C8080 WZ |
撮影日 |
05/12/23 13:01 |
ISO感度 |
50 |
絞り |
F7.1 |
シャッター |
1/500 |
露出補正値 |
-1/3 |
WB |
晴天 |
露光方式 |
絞り優先AE |
測光方式 |
評価測光 |
合焦方式 |
スポットAF |
焦点距離
(35mm換算) |
7.1mm
(28mm) |
その他 |
手持ち撮影 |
レタッチソフト |
ちびスナ |
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