県内某所にある電機会社の工場で電子部品の撮影をやった。海外のクライアント向けブローシャーに使うのだそうだ。小さいものになるとせいぜい3ミリぐらいしかないものもある。そういう小さな部品には当然マクロレンズを使うわけだが、接写の欠点は被写界深度が1ミリ以下に浅くなること。でも、芸術作品を撮ろうというわけじゃないので、できるだけピントを稼がなくてはならない。絞れるだけ絞って、しかも、スローシャッターになってブレても困るので、目一杯の照明を当てて撮る。今日は暖かだったので、汗だくの仕事になった。
この工場での仕事は今回が三度目。技術を要する撮影なのでいいギャラになる。日曜日、工場が休みのときに、研究棟の一室をあてがわれてそこに篭る。工場から2人、本社から1人、それとボクだけである。この部品はこちら側からこの角度で、などと細かい指示が出る。
フィルカメ時代は現像してみないとOKかどうか判断できなかったので、こういう注文撮影は冷や汗ものだった。デジカメになってその点は大助かりだ。持って行ったカードリーダーを介して研究室のパソコンに画像を取り込み、ダメが出たらその場で撮り直す。撮影の失敗だけでなく、指示出しの間違いもカバーできるわけで、お互いに助かりますねなどと言いつつ、和気藹々の撮影だった。
会社名、製品名、その他もろもろ、一切口外無用である。撮影した画像はメディアごと置いてくる。替わりに新品のメディアをくれるので痛くも痒くもないけれど、こういう買い取り契約だとせっかく撮った画像を使い回せないわけで、なんだか損した気分になる。もちろん、撮影に使った部品を記念にどうぞなんてこともない。
この写真は昼休みに間に撮ったもの。この工場でも喫煙者は相当肩身の狭い思いをさせられているみたいだ。喫煙所は工場の隅っこの産廃集積場の前、戸外である。綺麗な工場なのに、この一角だけがまるで50年前にタイムスリップしたみたいな雰囲気。モノクロにちょうどいいと思ったので、カメディアのモノクロ設定で撮った。この画像だけお持ち帰りOKの確認を貰ってある。
今日はこれ1枚しかないので、なんとか生かさなきゃいかんというわけで、レタッチにかなり時間をかけた。モノクロ写真はカラーに比べると格段に情報量が少ない画像なので、鑑賞に堪える絵にしようと思ったら、レベル補正だけではなく、焼き込み、覆い焼きを駆使して、自分の意図にできるだけ沿うような形に仕上げる必要がある。実は、この作業がモノクロの一番の面白さなのだ。暗室に篭って酢酸の匂いに浸る楽しさと同じである。 |
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撮影データ |
カメラ
OLYMPUS
Camedia C8080 WZ |
撮影日 |
06/03/12 11:07 |
ISO感度 |
50 |
絞り |
F3.5 |
シャッター |
1/200 |
露出補正値 |
-2/3 |
WB |
オート |
露光方式 |
絞り優先AE |
測光方式 |
評価測光 |
合焦方式 |
スポットAF |
焦点距離
(35mm換算) |
21.3mm
(84mm) |
その他 |
手持ち撮影 |
レタッチソフト |
PhotoShop EL |
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