昨晩、ふと思いついたことがあった。このところ2週にわたって安行桜を撮りに行った川口の密蔵院のことだ。100メートルあるかないかの短い参道が寺に向かって緩やかな下り坂になっているのだが、その道の両側に2メートル間隔ぐらいで灯篭が並んでいる。石灯籠ではなく木製で、蝋燭を立てるてっぺん部分はガラスである。道の上は満開の安行桜が枝を張り出し、まるでピンクのトンネルのようになっている。この灯篭に、ひょっとして夜間、明かりが灯るのではないかとひらめいたのだ。
早速、今日、確かめに行ってきた。電話しても良かったのだが、それじゃちょっと失礼だし、我が家からものの30分だから苦でもない。写真を撮りながら待つこと30分、住職らしい作務衣姿のご老人が庭に出てこられたので、呼び止めて尋ねてみた。
残念ながら、灯篭に灯を入れるのは大晦日だけなんだそうだ。しかも、電気ではなく、1本1本蝋燭を灯すのだという。てっきり電球だろうと早合点していたのだけれど、蝋燭じゃそう頻繁に灯すというわけにはいくまい。納得である。
ずいぶん立派なお寺だし、境内も隅々まできちんと手が入っているし、寺務所には小坊主が何人も働いているので、胸の内ではずいぶん商才に長けた住職だろうなと思っていたのだが、話をしたご老人がもし住職であるのなら、とてもそういう商売人には見えなかった。語り口も柔らかいし、始終笑みを絶やさず、丁寧に説明してくださった。以前、灯篭を灯して夜桜をやってみたことがあるのだけれど、大混雑を呈してご近所から苦情が来たそうだ。駐車場にゴザを敷いて宴会を始める若者たちまで出現する有様で、さすがに閉口して1年限りで止めたとのこと。夜景は想像だけということになってしまったが、そういうことならむべなるかなである。
写真は、誰か出てくるのを待っている間に数枚撮ったうちの1枚である。こういう写真は、画面に入るいろいろなモノを、できるだけ全部見せないというのがコツ。画面に入っていない外側まで鑑賞者の眼を導いてやるわけだ。見えないところを想像で補おうとしてくれるから、写真に広がりが出る。
桜の写真はピーカンよりは曇り空のほうがいい。光が隅々まで回ってくれるので派手さが抑制されるし、光を直接反射するところが少なくなる分、色合いも綺麗に出る。ましてや、こういう建物や庭の景色が入る場合は、陰になって黒潰れする部分が少なく、画面が優しい感じになってくれる。空の分量にだけ注意を払えばいい。 |
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大きな写真は ⇒ ブログ版。 |
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撮影データ |
カメラ
CANON EOS20D
EF 28-135mm IS USM |
撮影日 |
06/03/24 15:49 |
ISO感度 |
200 |
絞り |
F5.6 |
シャッター |
1/30 |
露出補正値 |
-2/3 |
WB |
マニュアル |
露光方式 |
絞り優先AE |
測光方式 |
中央重点分割測光 |
合焦方式 |
スポットAF |
焦点距離
(35mm換算) |
90mm
(144mm) |
その他 |
手持ち撮影 |
レタッチソフト |
SILKYPIX
縮小専科 |
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