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夏に咲く 2008/09/07 SUN (No.1983） 　毎夜毎夜、ほぼ例外なくボクは、芋焼酎（あるいは黒糖焼酎、もしくは、手に入るアルコール含有液体を手当たり次第）を飲みながら、午前３時か４時ごろまで書斎仕事をするのであるが、物心ついて以来（実際は中学生のころから）飲み続けている焼酎であるから、たぶん、ボクの身体の９割近くは、理論的に言って、芋焼酎成分で構成されているものと推察される。 　サツマイモが南米から東南アジアを経て日本に伝わったのは、17世紀であると言われている。とりあえず、米の栽培にはほとんど不適格である火山灰土壌に覆われた、日本一の貧乏地帯であった薩摩で、飢死回避の切り札として栽培されたことからサツマイモという名称を冠することになったのだが、江戸時代、青木昆陽が飢饉対策作物として全国に広めたことで、地域限定作物ではなくなった。 　しかし、そのサツマイモを原料とする芋焼酎は、今に至るも地域限定飲料である。理由ははっきりしている。貧乏人御用達の焼酎の中にあっても、もっとも癖のある酒だったからである。最近でこそ匂いを抑えた、万人向けの銘柄が多数出るようになって全国区になったが、ボクが必須栄養素として摂取し始めたころは、確かに、金があったらこんなもん飲まんわい、というような、とにかく臭い酒であった。 　ところで、鹿児島県内で発見された、もっとも古い焼酎に関する文献は永禄２年（1551年）に書かれたものだそうだ。鹿児島大学の焼酎学講座（んなものがあるのだよ、ボクの出身校には！）の教授が言ったことだから、間違いはない。 　その文献とは、とある神社を改築しようとしたときに発見された、その神社を建てた宮大工の落書きだそうだ。「施主がケチんぼだから、焼酎も飲ませてくれない」と書かれていた（もちろん、解読不能な薩摩弁で）という。 　でも、ちょっとおかしい。原料の渡来が17世紀、つまり1600年代であるのなら、1551年に焼酎恨み節の落書きが書かれるはずがないではないか。事実だとすれば、この当時の焼酎は芋焼酎ではなく、なにか別のものを原料とした焼酎だったということになる。 　大学の焼酎学講座でこのへんのところが解明されたかどうかは分からないけれど、芋焼酎で身体が構成されているボクとしては、実はサツマイモの渡来はもっと古く、芋焼酎を醸造するためだけに、ひそかに山奥で栽培されていたと思いたい。なんせ、人類は、類人猿の時代から酒を楽しんできた動物なのだ。サツマイモが飢餓対策ではなく、酒造り目的であったとしても、なんら不思議はない。ロシア人相撲取りが必須摂取成分としている大麻と同じである。 大きな画像はこちら。 購読解除はこちら 全バックナンバーはこちら 「お散歩デジカメ　Premium Edition」 日刊の有料メルマガです。購読料は１ヶ月1,050円。　　　 【主な内容】 １日１枚の参考写真とエッセイ RAW現像やレタッチの技法 撮影技術解説 ネット撮影会の作品と講評、など。 購読申込みはこちら。 購読料はクレジットカードからの 自動引き落としです。 今日のプレミア版 窓 【内容】 展示作品：通常版「窓」 エッセイ：買わざるべき 今日のポイント：土手を歩く 撮影会講評：ナンさんの作品 「透明人間行進中」