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沈下橋 2009/05/16 SAT (No.2234)


 福井晴敏「真夏のオリオン」を読んだ。
 今月に入って今日までに10冊、いつもより若干ペースが遅い。ズボラな割に、今月は撮影に入れ込んでいるからだと思う。そう言えば、生を飲むペースも緩い。キットのヤロ、急に真面目になりやがって、なんか悪いこと、企んでやがるな、とお思いのみなさん、なにも企んでいません。
 福井晴敏といえば、2005年に「終戦のローレライ」「戦国自衛隊1549」「亡国のイージス」の3作品が立て続けに映画化されて、いきなり超メジャーに躍り出た若手作家である。直木賞は候補に留まっているが、江戸川乱歩賞、日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞、大藪春彦賞など、主だった賞を軒並み受賞している。
 ボクは、処女作の「川の深さは 」と、「亡国のイージス」「終戦のローレライ」の3作品は読んだ。「川の深さに」はともかく、「亡国のイージス」は500ページ超の文庫本上下二巻、「終戦のローレライ」に至っては文庫4冊という大部だが、いずれも、息もつかせずという感じで一気に読ませられてしまった記憶がある。
 海洋文学というジャンルがある。フォレスターの「ホーンブロワー」シリーズなどを輩出したイギリスが本家だが、どういうわけか、四方を海に囲まれながら、日本ではあまり流行らない。吉村昭の漂流ものや、白石一郎の一連の水軍ものが目立つ程度だ。
 福井晴敏は、そういう海洋小説の貧困な状況に一石を投じたという意味で、もっと高く評価されてもいい作家だと思う。作品は太平洋戦争に題材を得たものが多く、今日読んだ「真夏のオリオン」も、終戦直前に米重巡インディアナポリスを撃沈した伊58潜水艦と、その艦長であった橋本以行をモデルにしたと著者自らが語っている。また、潜水艦の艦長と、米駆逐艦の艦長との誇りをかけた戦いという観点は、1957年公開の米国映画「眼下の敵」における米駆逐艦と独潜水艦の戦いを彷彿とさせ、単なる戦争ものではない、人間性への賛歌というテーマ性も強調されている。
 この本、実は6月13日公開予定の映画のノベライゼーションである。原作は、というか、ネタ元は、2ヶ月ほど前にこの欄で紹介した、池宮彰一郎の息子池上司著の「雷撃深度一九・五 」、映画の原案・監修が福井晴敏で、本自体は飯田健三郎が書き下ろしたもの。福井ものにしては短く、たった300ページに収まったのは、そういうわけなのだった。ものの1時間ほどで読み終わるが、読後感は重厚である。物語の中で非常に重要な役割を果たす「楽譜」がどんな音楽なのか、小説では分からないけれど、映画では岩代太郎作曲のものが流れるはず。聴いてみたいものだ。

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5月23-24日(土日) お田んぼ倶楽部 田植え祭り
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[4]この普及版と併せて、プレミア版のエッセイも毎日読むことになるので、キットに感化される度合いが倍加し、人格崩壊速度が速まる。
ちなみに、この方は、すでに人格が崩壊してしまいました。