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街かど 2009/06/12 FRI (No.2260） 　前もって言っとくけど、今日紹介する本は、絶対に楽しいストーリーじゃないし、面白くもないから、読まない方が身のため。 　重松清の「疾走（上下、角川文庫）」は凄まじかった。重く、暗いテーマである。血沸き肉踊るようなことはまったくない。にも関わらず、ぐいぐいと、まるでレスラーに首根っこを掴まれて引っ張られるように没入させられてしまう。３軒はしごして生８杯、読了に要した時間だ。息も継げないという感覚だった。 　少年シュウジ、９歳から15歳までの６年間の生きざまである。普通の少年が、周囲の人々、取り巻く環境が変遷していくことで、抵抗のしようもなく地獄に堕ちていく。一見ありえないようなストーリーだと錯覚するが、一つ一つの事実は、おそらく、ボクらの日常にいくらでもあることなのだ。しかし、それが積み重なっていくと、人は抗うすべもなく傷を負う。 　親の弱さ、教師の頼りなさ、人の残酷さ、それらから身を守ろうとすること自体が地獄への道程になってしまう。なんとも切なく、救いようがない気持ちにさせる小説だ。唯一救いの手のように見える宗教でさえ、現実にはなにもできない。 　重松清といえば、坪田譲治文学賞を受賞した「ナイフ」と、直木賞の「ビタミンＦ」を読んだことがあるが、それら２作品と同脈である。いじめ、不登校、家庭崩壊、少年犯罪など、新聞を賑わしている社会問題が、その渦中にある子どもの眼にはどう見えているのか、どのような身の処し方をしようとしているのか、小説という形を取ることで、ルポルタージュでは示し得ない真実が突きつけられているように思われた。 購読解除はこちら 全バックナンバーはこちら 感想、ご意見などはこちらから。 「お散歩デジカメ　Premium Version」 日刊の有料メルマガ 購読料1,050円（月間）はクレジットカードからの自動引き落としです。 普及版と同様、「一日一枚」ではありますが、 有料だけのことはあるな！ という内容になっとります。 写真が上手になりたい人や、 キットのせいで人生を誤りたい人は 購読して後悔することはありません。 ただし、 購読しなくても後悔することはない 仕組みなので、貧乏な方は ご遠慮いただいた方が よろしかろうと存じます。 メルマガ登録・解除 お散歩デジカメ Premium Version >>  サンプル 詳細ページへ powered by まぐまぐプレミアム 今日のプレミア版 【内容】 展示作品： 通常版「空中駅」 エッセイ：ビールを誘うもの 今日のポイント：休載 ネット撮影会講評：休載 空中駅