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ねこじゃらし 2009/07/13 MON (No.2291） 　拙著「デジタル写真の学校」が、な、な、なんと！中国語に翻訳されることになった。発刊以来足かけ４年、その間に８刷も出たロングセラーだが、さすがに次の９刷はなかろうと思っていた。日進月歩のデジカメワールド、４年も経つと古典である。源氏物語の世界だ。当時、コンデジはまだ200〜300万画素、眼デジでさえ600〜800万画素なら50万円を超える高級機という時代だった。隔世の感、ってやつだな。 　なんでも、台湾の出版社が目をつけたらしい。版元の雷鳥社に訳書出版願いが出て、雷鳥社がボクに許可を求めてきた。まあ、先様が源氏物語でもいいと言うのだから、ボクに異論はない。勝手におし、と言っておいた。 　これから翻訳ってことなんだろうから、出版がいつになるのかは不明だが、出たらぜひ一冊いただきたいものだ。いったい、中国語になったらどんな本になるのか、興味津々である。写真用語の中国語訳ってのも見てみたい。キットタケナガはどう表記するんだろうね。屹度竹永？そりゃないか・・・。 　閑話休題、ボクの本のことを書いたコラムに、巨匠の本のことを書くのは気が引けるが、司馬遼太郎の「空海の風景（上・下）」を４日かかって読み終えた。空海といえば、和尚さんの親分である。和尚さんが真言宗の坊主になって以来、我が家系では空海ブームが続いていて、この本は、ボクに輪をかけた本の虫である次弟から、親父を経由して回ってきた。 　司馬流とも言われる書き方、つまり、小説なんだけど随筆のようでもあり、研究書のようでもあり、という典型である。資料集めの鬼（彼が小説を書き始めると、神田の古本屋街から、その時代を扱った書物が消滅したと言われる。軽トラを乗りつけて買って行ったそうだ）ならではの実証スタイルが発展して、1200年も前の人物を、あたかも眼前に見るかのように浮かび上がらせる。 　小説とは想像の所産である。しかし、司馬は実証を基礎とし、実証された事実から見て、この想像は決して無理ではないという範囲で小説化する。それは読者にも伝わるから、司馬が描く空海が、決して荒唐無稽な想像の産物ではなく、まさに司馬が描くような人物であったと思い込まされるのである。 　我が国にあっては、有史以来、空海を超える天才は、以前にも出現しなかったし、以後にも出現していない。人智を超えた超人だったわけだが、司馬は、その天才を生身の人間として見せてくれる。ときにはしゃぎ喜び、ときに苦悩し、暖かくもなり、また、意地悪にもなる。天台宗を創設した同時代の最澄との交流などにも、司馬独自の解釈が下され、２人の生身の宗教人が生き生きと姿を見せるのである。 　司馬文学の頂点とも言われ、芸術院恩賜賞という、これ以上はないという受賞歴を誇る作品である。哲学書を読むような意気と根気が必要だが、読むべき本には違いない。 購読解除はこちら 全バックナンバーはこちら 感想、ご意見などはこちらから。 「お散歩デジカメ　Premium Version」 日刊の有料メルマガ 購読料1,050円（月間）はクレジットカードからの自動引き落としです。 普及版と同様、「一日一枚」ではありますが、 有料だけのことはあるな！ という内容になっとります。 写真が上手になりたい人や、 キットのせいで人生を誤りたい人は 購読して後悔することはありません。 ただし、 購読しなくても後悔することはない 仕組みなので、貧乏な方は ご遠慮いただいた方が よろしかろうと存じます。 メルマガ登録・解除 お散歩デジカメ Premium Version >>  サンプル 詳細ページへ powered by まぐまぐプレミアム 今日のプレミア版 【内容】 展示作品：通常版「田んぼたそがれ」 エッセイ：縁がない 今日のポイント：お遊び ネット撮影会講評：休載 田んぼたそがれ