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鉄塔が見える路地 2009/08/06 THU (No.2315） 　選挙がだんだん盛り上がってきた。一日に２回は窓の外を選挙カーが走るし、駅に行けば、必ずどっかの候補者陣営がビラ配りをやっている。まだポスター掲示板は見ていないが、我が選挙区では、泡沫政党以外では新人が出ていないから、いわゆる見知った二人の対決ということで、基礎票以外の票の取り合いになる。選挙運動のボルテージも上がろうというものだ。 　今度の選挙は、ひょっとしたら政権交代というバネがあるから、投票率がかなり上がるだろうと見られている。ボクも当然投票するつもりだ。今まで棄権したのは英国にいたときだけ、政治に対する関心も人並みにあるし、投票するのは主権者としての義務だとも思っている。 　しかし、いつも思うのが、もう一つの選挙がどうにかならんのかということだ。もう一つの選挙、すなわち、最高裁判事の信任投票である。国民審査権を持ちながら、その権利を正当に行使してきたという自覚がまったくない。それが悔しい。 　信任投票は、投票用紙に列挙された判事たちの氏名に、信任なら何も書かず、不信任のときだけＸを書き入れて投票箱に入れる。だが、信任、不信任を判断する材料は皆無である。最高裁判事ほどの人たちだから、重要事件の新聞報道で名前が載るってこともあるのかも知れないが、そんなもん、覚えているわけがない。せめて、この判事は過去にこういう判決を出したとか、特に、政治に関わる判決でどういう立場であったとか、そういう事実ぐらいは事前に公表してもらわないと、投票は単なる形式にすぎなくなる。 　そう思っていたら、ネットでいいサイトを見つけた。「忘れられた一票2009★最高裁判所裁判官国民審査判断資料」というサイトだ。今回審査を受ける９名の裁判官の人となりやプライベートなエピソードから、最高裁判事に就任したときの就任挨拶、普段の主義主張、最高裁が作成した公式プロフィール、そして、なにより重要な、過去の裁判おける判断が記載されている。判決とは異なる少数意見も詳述してあるから、よく読み込めば、その判事の基本理念まで窺い知ることができる。 　９人分の記述を読んで、ひとつ、ボクが以前から関心を持っていた問題について、それぞれの判事が異なる見解を持っていることが判明した。信任投票する際の大きな目安になりそうだ。 　その問題とは、いわゆる一票の格差問題である。選挙区の違いによって、一人の政治家を当選させるための最低得票が異なるという問題だ。過去に何度も裁判で争われ、違憲だが選挙は有効みたいな、玉虫色の判決が繰り返されてきた。２倍の格差までなら合憲、３倍程度でもOK、なんだかよく分からん結論だ。 　ちなみに、「一人一票実現国民会議」のサイトで、自分の選挙区の一票の重さを測ることができる。高知３区を一票としたときの比較である。それによると、ボクのところはなんと、たったの0.55票、つまり、ほぼ半分の価値しかないことになっている。高知３区の選挙人の半分しかボクの人権は認められていないわけだ。はっきり言って腹立たしい。 　ということで、今回の信任投票では、過去に一票の格差を合憲と判断した判事には不信任を投じることにした。この歳になって、初めてＸをつけるのだ。ボク一人のＸよって不信任になる判事はいないと思うけど、少なくとも、投票した帰りに感じていた割り切れない気分を、今回は感じなくて済みそうだ。 購読解除はこちら 全バックナンバーはこちら 感想、ご意見などはこちらから。 「お散歩デジカメ　Premium Version」 日刊の有料メルマガ 購読料1,050円（月間）はクレジットカードからの自動引き落としです。 普及版と同様、「一日一枚」ではありますが、 有料だけのことはあるな！ という内容になっとります。 写真が上手になりたい人や、 キットのせいで人生を誤りたい人は 購読して後悔することはありません。 ただし、 購読しなくても後悔することはない 仕組みなので、貧乏な方は ご遠慮いただいた方が よろしかろうと存じます。 メルマガ登録・解除 お散歩デジカメ Premium Version >>  サンプル 詳細ページへ powered by まぐまぐプレミアム 今日のプレミア版 【内容】 展示作品：通常版「曇り空」 エッセイ：鉄塔山西線の続きの続き 今日のポイント：さらに訂正 ネット撮影会講評：休載 曇り空