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台風一過 2009/10/08 THU (No.2378)

 石田衣良の未読本がたくさん手元にあるので、次は何を読もうかと悩まずに済む。とりあえず、池袋ウェストゲートパークシリーズの第5巻以下を読んでいるが、今日はちょっと気分を変えて、「I love モーツァルト」を手に取った。石田衣良が音楽ファン、特にクラシックにたいへん造詣が深いことは、音楽好きなら知らぬものはない(らしい。ボクは知らなかったが、鬼嫁は知っていた。教育テレビの音楽番組などにも、ちょくちょく出ているらしい)。
 小説ではない。モーツァルト賛歌の随筆である。1300円にCD1枚の付録付きという、手にしただけで儲かった気がする本だ。彼のモーツァルトに対する愛情が、全編にほとばしる。あくまでクラシックの初心者向けに書かれた随筆なので、ほんとのクラシックファンにはちょっと物足りないだろうが、「クラシックはどうも敷居が高い」と感じている人には、絶好の入門書だ。音楽の神髄、天才たることの所以、楽しむためのコツなど、さまざまな角度からモーツァルトに迫る。
 ロックしか聴かなかった著者が、なぜクラシックの虜になったのか、そのくだりを読むと、この本が、実は単なる書き散らしの随筆ではなく、モーツァルトを入り口にして人々をクラシックの世界に誘うための疑似餌だということが分かる。また、自分の小説作法とモーツァルトの音楽との共通点を述べるくだりでは、真のエンターテインメントはどうあるべきかという、著者の哲学にも触れることになる。
 付録のCDには、著者が「これぞ!」と思う曲が10曲収録されている(それぞれの曲への解説も読んで楽しい)。ピアノ協奏曲第20番の第2楽章や、交響曲25番、40番の第1楽章など、誰でも耳にしたことがある曲もあるが、弦楽五重奏第3番の第1楽章、弦楽四重奏第19番「不協和音」の第1楽章など、モーツァルトオタクじゃなきゃ取り上げないぞというような曲も含まれていて、多面的にモーツァルトの魅力を提示しようという意図が感じられる。
 モーツァルトの死後、わずか20年ほどの間に、ヨーロッパの音楽は劇的な変化を遂げた。ベートーベンやブラームスになると、すでに「構えなければ聴けない」音楽になり下がる。しかし、モーツァルトはBGMでいいのだ。多くがその趣旨で作曲されたし、実際の話、なんとなく聞こえているという状態とそのときの心理状態とが、これほどシンクロする音楽は他にない。楽しいとき、悲しいとき、苦しいとき、どんなときでもモーツァルトは、遠くからの響きで心を満たしてくれる。
 歴史に名を残す音楽家の中で、モーツァルトはもっとも恵まれなかった音楽家の一人である。最盛期の一時期を別にすれば、終始貧乏であったし、無理がたたって早死にするし、死後は無縁墓地に投げ込まれたために墓も残っていない。しかし、彼の音楽に「苦しみ」は無縁だ。貧乏でも人生は楽しいじゃないか、笑って暮らそうよ、そのように呼びかける音楽なのだ。
 著者の音楽観とボクのそれとは、ほとんど同じであることが分かった。わずか1時間ほどで読めてしまうお気楽本だが、クラシック音痴のキミにも楽しめる一冊だと思う。この本を読んで、付録のCDを聴けば、モーツァルトはもはや小難しい「クラシック」音楽ではなくなるはず。ぜひお試しあれ。

「I love モーツァルト」1,300円
(キット評価:★★★★★)
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