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憤怒 2009/10/14 WED (No.2384） 　今日はしばらくぶりに書評。このメルマガの読者数は８千人を超えるから、中には「んなもの、読みたくないわい」という人も当然いるだろうけど、一方では、それを楽しみにしてくれている人もいるわけで、まあ、ボクとしては、自分なりの好き嫌い、自然体で書いていけばいいんだろうと思っている。また、なんたって毎日欠かさず２題のコラムを書き続けなければならないわけで、選り好みしているような余裕はないのだ。 　というわけで、今回も石田衣良。池袋ウェストゲートパークシリーズの（５）「反自殺クラブ」、（６）「灰色のピーターパン」、（７）「Ｇボーイズ戦争」、（８）「非正規レジスタンス」、（番外）「赤・黒」である。これに、すでに書いた「約束」と「I love モーツァルト」、それと、直木賞受賞第２作である「ラスト」の８冊を、６日間で読み終えた。暗〜いテーマの「ラスト」は、この不景気のご時世に読むと体に悪いから飛ばすとして、ウェストゲートパークシリーズはお勧め。第１作から第８作、そして番外編まで、ハズレは一冊もない。それぞれが連作短編集なのに、通して読むと、全９作がずっと繋がっていて、主人公真島誠の成長と、それにも増して、著者自身の成長が手に取るように感じられる。 　このシリーズは、ストーリーごとに音楽、ほとんどの場合クラシック音楽が登場する。音楽自体がストーリー展開に関わるってことはめったにないけれど、あたかもＢＧＭのように、ストーリーに彩りと雰囲気を与えるのである。ワルばかりを輩出する高校を出たマコトは、向学心ゼロの不良だったのだが、あるきっかけでクラシック音楽に目覚め、歳とともにそのレパートリーを広げていく。ある程度のクラシックファンじゃなければ分かりにくいだろうが、話の中に出てくる音楽のメロディーが、実によく話の筋書きを補完するのである。 　マコトはまた、あるきっかけで雑誌にコラムを連載するようになる。そのコラムの内容に関して記述してある章はひとつもないが、書き手として成長していく姿もまた、シリーズを読んでいく上での楽しみになる。 　ストーリーの一つ一つは、現代の池袋のストリートギャングやヤクザ、池袋に集まる若者たちの間で起こる事件を、マコトが解決していくというワンパターンだが、現代の若者風俗を実によく描写しているし、事件解決に奔走するマコトやその友人たちの頭脳プレイにもいろいろなバラエティがあり、謎解きではないものの、ミステリー小説としての抜群の面白さを備えている。 　とりあえず、今までに出ているシリーズをすべて読んでしまって（８作目の「非正規レジスタンス」はまだ文庫にもなっていない）、次からは新作が出てくるのを待つだけという状態になったわけだが、待つ辛さをこれほど感じさせる作家はいないというのが本音のところだ。 赤・黒（池袋ウエストゲートパーク外伝） ［キット評価：★★★★★］ 反自殺クラブ ［キット評価：★★★★★］ 灰色のピーターパン ［キット評価：★★★★★］ Ｇボーイズ冬戦争 ［キット評価：★★★★★］ 非正規レジスタンス ［キット評価：★★★★★］ 購読解除はこちら 全バックナンバーはこちら 感想、ご意見などはこちらから。 「お散歩デジカメ　Premium Version」 日刊の有料メルマガ 購読料1,050円（月間）はクレジットカードからの自動引き落としです。 普及版と同様、「一日一枚」ではありますが、 有料だけのことはあるな！ という内容になっとります。 写真が上手になりたい人や、 キットのせいで人生を誤りたい人は 購読して後悔することはありません。 メルマガ登録・解除 お散歩デジカメ Premium Version >>  サンプル 詳細ページへ powered by まぐまぐプレミアム 今日のプレミア版 【内容】 展示作品：凝視 エッセイ：レンズにカビ 今日のポイント：一発勝負 ネット撮影会講評：はんべぇさんの作品 「炎」 凝視