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冬晴れ 2008/02/13 WED (No.1777） 　40年も前の話になるが、1年間だけ京都で暮らしたことがある。大学受験のために予備校に通っていたのだ。もっとも、「通った」のは、学費を出してくれていた両親には大変申し訳ないが、1ヶ月足らずだけで、後はほとんどアルバイトと遊びに明け暮れていた。 　当時からボクはクラシックファンで、所持品の中で唯一の贅沢品であった蓄音機では、もっぱらバッハやヘンデル、テレマンなどを聴いていた。でも、鹿児島のド田舎から京都に出てきた若者であるから、当然のようにジャズなんてぇものにも関心を抱き、当時三条界隈にあったジャズ喫茶などには、連夜のごとく入り浸っていたものである。 　クラシックとジャズ、それ以外では、唯一アルゼンチンタンゴに聴き惚れた。というのも、親父の嗜好がそれだったからだ。敵性音楽などと規制されていた軍隊時代にも、タンゴのレコードだけは任地に持って行ったというぐらいのファンであった親父は、ボクがご幼少の時分、当時は滅多に見ることができなかった蓄音機で、よくタンゴのレコードを聴いていた。その影響であろうと思う。 　その親父が年老いて介護施設に入ることになったとき、せめてもの慰めになろうかと思って、タンゴのＣＤを購入し、テープにダビングして持たしてやった。そのＣＤの音源が、ボクのiPodにも入っている。そのiPodが故障した。うんともすんとも言わなくなったのだ。 　買った電器屋に持っていったら、いろんなテストをやった結果、バッテリーへたりであるとの結論。アップルちゃんに連絡しろとのことだった。 　そのテストの最中に、ほとんど忘れかけていたタンゴがたまたま聞こえたのである。思わずうるうるっとなったのは、親父の境遇を思いやったということもあるが、浪人時代のいろんなことが、瞬時に脳内を駆け巡ったからだった。 　帰宅して、改めてＣＤをかけてみた。やっぱり、うるうるしてしまった。たったの1年間であったが、京都時代は、ボクにとって、かなりの重さを持っているようだ。 大きな画像はこちら。 購読解除はこちら 全バックナンバーはこちら 「お散歩デジカメ　Premium Edition」 日刊の有料メルマガです。購読料は１ヶ月1,050円。　　　 【主な内容】 １日１枚の参考写真とエッセイ RAW現像やレタッチの技法 撮影技術解説 ネット撮影会の作品と講評、など。 購読申込みはこちら。 購読料はクレジットカード、もしくは ジャパンネット銀行 からの自動引き落としです。 今日のプレミア版 風の日 【内容】 展示作品：通常版「風の日」 エッセイ：寒さに降参 今日のポイント：セット忘れ 撮影会講評：おおくじらさんの作品 「ただいま満室」