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欅並木 2009/11/08 SUN(No.2409） 　ボクは、こう見えてもただの呑んだくれではなく、写真も撮れる呑んだくれを職業としているから、毎日写真を撮るのは至極当然の報いであって、そのことは苦にならない。 　しかし、メルマガ配信などという媚薬におぼれた結果、８年ほど前から毎日、文章を書くという作業もやるハメになった。こちらのほうは職業ではない。したがって、ほとんどの場合、それは苦痛である。 　だが、ある意味で、それは当然の報いであると言えなくもない。というのも、若輩の頃、というのは中学高校の頃という意味だが、ボクは、とにかくなんでもいいからゲージツカになりたいと熱望していたのである。なんでもいい、とは言ってもおのずとそこには優先順位というものがあり、もっとも憧れたのが音楽家、次に画家、三番目が小説家、次が詩人という順序であった。まさか写真家に落ちぶれようとは思ってもいなかったから、今の職業は若輩の頃の目標では番外、補欠にも入っていなかったのである。 　なぜそのような結果になったのかは言うまでもあるまい。順位が上位のゲージツカになるには、才能が決定的に欠けていたからである。趣味の範囲ならそこそこであったとしても、職業にするには無理があった。それも、かなりの無理、逆立ちしても追いつかない無理難題だったのである。第一、生来のズボラ人間であるから、限りなく修練を積まなければならない分野には向いていなかった。忍耐心や克己心というものを、あいにく持ち合わせていない。 　その点、写真はさほどの修練が必要なわけではない。エイヤッ！でやっつけられる範囲が広いのだ。カメラがどんどん進歩して、技術面のサポートをしてくれるから、場数で勝負！みたいな世渡りが可能なのである。 　で、文章書きだが、小説家、詩人が優先上位にあったことからも分かるように、かつては憧れの職業だったのである。なので、文章を書くことには抵抗がない。写真家が出すメルマガであるから、文章を載せる必要など豪もなかったにも関わらず、それをやってしまったのは、若き時分の憧憬が心の底に残滓としてあり、それが背中を押したのだろうと思われる。諦めの悪い女々しい男なのだ。 　というわけで、今、苦しみのどん底に沈んでいる。書くことがこれほど苦痛だとは思ってもいなかった。仮に万一小説家や詩人になっていたとしたら、とっくにノイローゼになって、無差別殺人かなんかを起こしていたであろう。人間には、好むと好まざるに関わらず、向き不向きがある。若いころの夢ではあったにせよ、なんとまあ、無鉄砲なことを考えていたことか、今になって、ようやくそれが分かるキットくんなのである。ズボラで、女々しくて、その上鈍感と来ては、もはや救いようがない。 購読解除はこちら 全バックナンバーはこちら 感想、ご意見などはこちらから。 「お散歩デジカメ　Premium Version」 日刊の有料メルマガ 購読料1,050円（月間）はクレジットカードからの自動引き落としです。 普及版と同様、「一日一枚」ではありますが、 有料だけのことはあるな！ という内容になっとります。 写真が上手になりたい人や、 キットのせいで人生を誤りたい人は 購読して後悔することはありません。 メルマガ登録・解除 お散歩デジカメ Premium Version >>  サンプル 詳細ページへ powered by まぐまぐプレミアム 今日のプレミア版 【内容】 展示作品：普及版「欅色づく」 エッセイ：寿司は下魚に限る 今日のポイント：紅葉は透過光で ネット撮影会講評：ナンさんの作品 「アテンダント嬢」 欅色づく