Kit the genius'
☆ 1日1枚 

Fujifilm Finepix4500 Camedia C-4100
終末の予感 2003/09/03 WED
 いやはや、もの凄い夕立だった。「一天俄かに掻き曇り」という古い言い回しがあるが、今の今まで照っていたと思ったら、なんの予兆もなくあたりが真っ暗になった。東の空を見たらほとんど真っ黒だ。あっちのほうではすでに降り出しているらしい。
 その景色を撮っていたら、突然ピカッときてザーッと降り出した。その勢いといったら、瞬く間に道が川のようになる。雷がそこら中の高圧線鉄塔に落ちる。
 雨が降ってるんじゃなんにもすることはないので、仕事部屋でパソコンに向かっていたら停電した。回復したと思ったら、パソコンが立ち上がる間もなくまた停電。管理人さんから電話で、「エレベーターが止まっちゃいました」だと。
 人が閉じ込められていないのを1基ずつ確認していたら、外が真っ赤っかになった。西の空の雲が少し薄れたらしく、夕焼けの色が雨を染めているのだ。奥さんたちが、「気持ち悪い〜」と騒いでいる。確かに、こんな空、というか、空気はこれまで見たことがない。なんだか、この世の終わりが近づいているような不気味さだ。通路の柵にカメラを押し付けて、手持ちで撮った。

使えるワザレタッチ一切なしの画像である。コントラストと彩度を最高の+5まで上げてあるので、実際の見た目より多少綺麗な色になっているが、感覚的には見た目とほとんど変わらない。立て続けに7枚撮ったら太陽の光が薄れて、じきに普通の雨の夕方になった。7枚の画像を見直したら、この色が出ているのは3枚だけ。つまり、わずか1分間ほどの出来事だったわけだ。前2枚はややピンクに色づいているかなというぐらいの色、うしろの2枚は薄い紫がかった色だった。
 太陽が直接顔を出しているわけではないし、西の空以外はまだ黒い雲が上空を覆っている。雨脚もまだかなり強い。つまり、かなり暗い。絞りを開放まで開けてもシャッター速度が1/2を切る。そこで、いつもはあまりやらないのだが、ISO感度を1段上げて200にした。これで倍のシャッター速度になる。それでも、あとでexif情報を確かめたら1/3だった。手持ちでブレなかったのは奇跡に近い。
撮影データ
カメラ Camedia C-4100
撮影日 2003/09/03
ISO感度 200
絞り値 F2.8
シャッター 1/3
露出補正値 -0.7
WB オート
その他 絞り優先AE
コントラスト+5
彩度+5
バックナンバーは
「天才キットのフォトギャラリー」
に展示してあります。
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読者からのメールや質問やヤジ

ゆーこちゃんから
 今朝ほど撮影会の皆々様の作品の数々を拝見いたしました!ほんとうに、初心者〜???という写真に驚いていますー(゜o゜)
 夜景って撮ったことないのですが、初心者でもこんなふうに撮れるのね〜。。。と驚いた次第です!
 皆様メルマガの愛読者だからかしら〜ん。


返信
 ボクの見るところ、hermesさんやJUN1さんは「けちょんけちょん」コーナーにもときどき投稿してくださる方なので、必ずしも初心者とは言えないようですが、まあ、半分以上の参加者は初心者とお見受けしました。

 しかし、写真の面白いところは、初心者でもプロ並みの写真が撮れてしまうというところで、ましてや、ああいう撮影会みたいなシチュエーションだと、あとで講評会があるわけだから、みなさんけっこう真剣に眼を見開かざるを得ないんですね。その気になって周囲を観察すると、普段は見過ごしていたようなものが目に入ってくるようになるものなんです。


ネムちゃんから
 キット先生こんにちは!
 お台場撮影会の作品拝見しました。皆さん凄いです。僕も負けてられないと思いました。そして感じました。先生のおっしゃるとおり、写真は道具じゃない、感性だと…。

 でも上達の早道なんてものはないんでしょうね。やはり沢山撮って、沢山反省して、反省点を次へ生かす。この繰り返ししかないですね、やっぱ。そうして色々な方の作品を見て、真似しているうちに、自分なりの感性が創られるんでしょうね。


返信
 そうだね、まずは人真似でいいから、自分が持っていないものを体験で掴んでいくことだね。そのうち、「おれの写真」というのが撮れるようになるよ。でも、ボクもそうだし、ほとんどのプロもそうだけど、自分だけのもの胸を張れる写真は一握りしかないね。奥は深いってことだな。

さとこちゃんから
 キット様、昨日、額装写真受け取りました。素敵な写真をどうもありがとうございました。HP上で見るのとはまた違って、本物の写真はいいですね。選んだ写真は確かに渋めでしたが、やはりいいなぁと思います。ほんとに一瞬を封じ込めたような写真ですよね。光の具合が好きです。
 「プロの写真家の作品がもらえるんだよ」
 といっても、今ひとつ事情が呑み込めなかった夫に現物を見せたところ、
 「すごい!さすがに違うねぇ」
 と驚いておりました。重ね重ね素敵なプレゼントをありがとうございました(それにしても太っ腹!!)。今度は写真展などで、ぜひキットさんの作品の数々を生で見たいと思ってしまいました。ご予定などはないのでしょうか。

 「お散歩デジカメ」も毎日楽しみにしています。今年の5月頃にメルマガの登録をしたばかりなのですが、どんどん内容が充実していってますね。毎日の配信はご苦労も多いかと思いますが、誌面からキットさんご自身が楽しんでいる様子がわかるので(そうですよね?)、読んでいてこちらもなんとなく楽しい気分になります。私は写真初心者で下手な写真ばかり撮っているのですが、不思議と「なかなか上達しないからもうやめたい」という気にならないんです。自分にしては珍しく、気長にゆっくり取り組んでいきたい趣味になりそうです(こんなのん気ものでは下手なままかもしれませんが)。でもキットさんのコラムや講評を読んだり、読者の皆さんの作品を見ることも、続ける原動力というか、結構励みになっているんですよ。

 フォトギャラリーの掲示板から、写真到着の報告をと思ったのですが、ノートンの設定を無効にしてもうまく送信することができませんでした(昨日、今日と日時を変えて行ったのですがエラー表示。前回はうまく送れたのですが)。それなら「お散歩デジカメ」の「ご意見・ご感想」からと再度挑戦したのですが、こちらは送信フォームが出ませんでした。というわけで、取り急ぎ無事写真が届いたご報告とお礼がしたく、またまた直接メールさせていただきました。毎度すみません。


返信
 喜んでいただいて嬉しいですよ。「お散歩デジカメ」のカウンターがまた切り番に近づいていますので、再挑戦してみてください。もう一匹、泥鰌がいるかも知れません。
 どうも、掲示板や送信フォームの調子が良くないようですね。全然問題なく戯言を書きまくっている伊良湖のじいちゃんみたいな人もいるわけだから、やっぱ相性なんでしょうか。中にはまりちゃんみたいに「写真が出ない」って人もいるし・・・。なんとか解決したいと思ってはいるんですが、根本原因がいまいちはっきりしないので困っています。
投稿写真をけちょんけちょんにけなすコーナー
ミヤコウミネコさんの投稿写真
 Kitさん、はじめまして。沖縄は宮古島というところに住んでいる、ミヤコウミネコです。

 デジカメは97年くらいのカシオ(機種名ド忘れしましたが)の、確か17万画素(!!)のものから使っています。撮ったものをその瞬間に見れるのが嬉しくて、海外旅行に持って行っては、地元の人を撮ってあげて人気者になった気分になっていたものでした。が、最近は、何をどう撮りたいか、自分でもわからなくなっていたところでした。Kitさんのメルマガに出会って、そうか!そういうこと考えて撮れば、いい写真になるのか〜、と毎回、目からウロコ。はじめて、写真を「勉強」させていただいています。 

 さて、お送りするのは最近(7月末)地元での「オリオン・ビアフェスタ」という、屋外コンサートの時の一枚です。宮古島に移って、まだ一年もたって居ない私にとって、小さな子供連れの親(おもに20代の若いお父さん)が多いのが印象的でした。BIGINがステージに上がると、会場は音楽に合わせてカチャーシになったのですが、前にいたおとうちゃんは、小さな子供を肩車して千鳥足で踊っていました。
 こういう印象を、写真に切り取るのは、どうしたら良いでしょうか?アドバイスをお願いいたします。ちなみに、カメラはCanonIXY300aで、設定はフラッシュ非発光だけでした。


講評
 なかなか面白いシーンをスナップしましたね。夕焼けに染まった雲と空の青がとても綺麗だし、オリオンビールの赤い広告もいいポイントになっています。

 ただ、この場面が野外コンサートの1コマであることを知らない人が見たとき、どういう風に感じるでしょうか。お父さんが子どもを肩車して綺麗な夕焼けに見とれていると思う人が大部分で、ステージに合わせて千鳥足で踊っていると見る人は少ないと思いますよ。

 原因ははっきりしています。まず、この親子以外に浮かれて踊っている(カチャーシって言うの?)人影が見えないこと。確かに、他の人々の頭だけは遠くに写っていますが、シルエットになっているので動作までは分かりません。
 もう一つは、親子のシルエットが写真の真ん中にあるので、余計に安定して見えてしまって、「動き」の要素を消してしまっているからです。

 こういうスナップは、「場の雰囲気」を写し込むことが大切です。ただし、あまり余計なものまで取り入れてしまうと煩雑になるだけで逆効果ですから、焦点になる被写体の邪魔にならない程度に入れるものを考えなくてはなりません。この場合、もう少し右側から、ステージの正面が親子の向こう側にくるような角度を選べば良かったかも知れません。あるいは、少しだけ仰角を下げて、他の観客の上半身ぐらいは入れてやってもよかったかも知れませんね。

 それから、ミヤコウミネコさんがこの親子に惹きつけられたのは、彼らのおかしな動きだったわけですから、写真に「動き」を表現しましょう。初歩的なワザがいくつかあります。[1]被写体を真ん中に置かない、[2]画面を傾ける、[3]わざとぶらす、などです。どのワザを使うかはそのときそのときの状況次第で、なんでもかんでも使えばいいというものではありません。肝心なのは被写体の動きそのものですから、何枚も撮って、一番動きが描写されたコマを選ぶようにしましょう。

 いただいた写真をちょっと斜めにしてトリミングしてみました。どうですか?これだけでも少しは動きが感じられるでしょう?

 それから、exif情報を拝見すると、露出が-1.7補正されていました。ちょっと行き過ぎですね。少なくとも、親子の服の色ぐらいは分かる程度がいいと思います。画像サイズが640*480になっていますが、せっかくですからもっと大きな画像で撮りましょう。カメラができる最高の画質をカメラから取り出すようにしてください。
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【撮影会のお知らせ】
9月の撮影会はhermesさんの地元、埼玉県日高市の巾着田です。
関東一の彼岸花の群落を撮影します。
天候不順な今年のこと、例年並みの美しさが見られることを期待しましょう。
下見をしてくださったhermesさんによると、「多分OK」との感触のようです。
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