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ＮＫエージェント 2009/10/03 SAT (No.2373） 　どっかで見たことがある建物・・・そう思う読者もいると思う。そう、あのアカデミー賞受賞映画「おくりびと」の舞台となった、山崎務演じる佐々木社長の納棺士派遣事務所ＮＫエージェントである。オーケストラが破産したために職を失った主人公、チェロ奏者の大悟（木本雅弘）は、里帰りした酒田でたまたま見た求人広告を頼りにこの事務所を訪れ、納棺士として働くことになる。 　鬼嫁と泊まったホテルが有名な山居倉庫のすぐ前で、その山居倉庫から歩いて10分ほどのところに、花見名所の日和山公園がある。その公園の入口のすぐ脇にあるのが、旧割烹小幡のこの建物。昭和元年の建築と伝えられる建物だが、現在、「おくりびと」撮影地として観光地化するまでは廃屋であった。酒田港が好景気に湧いた頃の遺産である。市街の中心部を焼きつくした昭和51年（1976年）の酒田大火の火がすぐそばまで迫ったが、辛うじて焼け残った。 　建物の右側にちょっとだけ見える日本家屋がその割烹の入り口部分である。内部はかなり広い座敷（その一室で、風呂屋の吉行和子扮する女主人を納棺する場面が撮影された）がいくつもある立派な建物だ。この洋館は、割烹付属のダンスホールとして使われていた。廃屋だった頃から、風情のある建物なのにもったいないと思っていた。映画を見たときにすぐに気付き、ボクと同じ見方をする人間が映画界にもいたなと、ちょっと嬉しくなってしまった。そのときから、改めてもう一度見てみたいと思っていたのだ。 　内部も公開されている。入場料は100円。一階部分は主人公大悟が面接を受ける事務所部分、壁際には映画では非常に印象的な小道具となった棺桶３つが立てかけられている。そのうちのもっとも高価な一つは、大悟の父親の遺体を納めることになる。大悟が弾くチェロも置いてある。チェロを弾く場面とそのメロディーが、この映画の泣き所の一つだ。 　二階部分は佐々木社長の部屋。フグの白子や唐揚げを食べる印象的なシーンが撮影された場所だ。遺体を扱うという仕事と、動物を食べるという行為とのコントラストが、作品に濃密な陰影を落とす。山崎務の名演技とカメラワークが光るシーンでもある。 　早朝だというのに、すでに駐車場は満車。酒田観光の新たな名所になっている。鬼嫁と二人、法事の身なりで行ったものだから、もっけの幸いとばかり、人々から散々モデルを頼まれた。観光地に行く時の服装は、ＴＰＯを考えよという教訓だ。 購読解除はこちら 全バックナンバーはこちら 感想、ご意見などはこちらから。 「お散歩デジカメ　Premium Version」 日刊の有料メルマガ 購読料1,050円（月間）はクレジットカードからの自動引き落としです。 普及版と同様、「一日一枚」ではありますが、 有料だけのことはあるな！ という内容になっとります。 写真が上手になりたい人や、 キットのせいで人生を誤りたい人は 購読して後悔することはありません。 メルマガ登録・解除 お散歩デジカメ Premium Version >>  サンプル 詳細ページへ powered by まぐまぐプレミアム 今日のプレミア版 【内容】 展示作品：牧場の川 エッセイ：休載 今日のポイント：休載 ネット撮影会講評：休載 牧場の川